「生きて存在してくれるだけでいい」福知山線脱線事故から14年

この記事には広告を含む場合があります。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

NHKの「事件の涙・選「だから ふたりで~JR福知山線脱線事故~」を見ました。

福知山線脱線事故で、1番被害者の多かった2両目にいて助かった旦那さんと奥さんの事故後14年の物語でした。

その内容は、簡単にコメントできないほど苦しくて辛くて悲しくて。このご夫婦が、どんな思いで14年を過ごしてきたのかと思うと安易な言葉で表現できないと思いました。

30分しかない番組だったので、この14年の全てを知ることは出来ませんでしたが、1人の遺族の話が出てきました。

その方は、婚約者を亡くした女性で、奥さんがずっと寄り添っていたのですが、事故から1年半後に11階から飛び降りて亡くなりました。

この女性のこと。私もよく覚えています。事故から数日後か数カ月後か時期は分からないけど、事故現場で婚約者の名前を泣き叫んでいる若い女性の後ろ姿をニュースか何かで見ました。

そして、その女性が自殺したことも、何かで知っていました。友人の身内でも同じようなことがあり、なんとも言えない暗く悲しい思いが巡ったことを思い出しました。

今回の番組を見て、改めて福知山線脱線事故を調べていたら、旦那さんのブログを見つけ、事故のことを詳細に書かれていたので読んでいたら、この女性のことが書かれていました。

亡くなった婚約者とは13年も同棲していたそうで、婚姻届を出す寸前の事故でした。婚姻届を出していなかったため、JR西日本には遺族として認めてもらえず、婚約者の家族にも認められず、葬儀にも参列できなかったそうです。

こんな悲しいことがあったことを初めて知りました。自殺は容認できないけど、絶望する気持ちは共感できます。遺書もあり、彼を奪ったJR西日本が憎いと記されていたとブログには書かれていました。

この女性に寄り添ってきた奥様は、この方の自殺もキッカケの1つとして、心身を病み、双極性障害を患っていました。

事故に合ってない奥様が動きたくても動けない状態になり。事故に合った旦那様が奥様を支える日々の中。奥さんは、何も出来ない自分を不甲斐なく思い、旦那様に申し訳ない気持ちになっていると。

ところが旦那様は、そんなこと(家事や仕事)は期待してない。「生きて存在してくれるだけでいい」と奥様に言い。その言葉を聞いて、奥様の心が少し軽くなったのか、番組の最後には少し笑顔も見れました。

旦那様が、「残された人間にできることは幸せになること」と笑顔で言われた姿は印象的でしたが、事故から14年経っても、事故は終わってないことを強く感じました。

お二人が過ごしてきた事故後の14年のことを、たかだか30分ほどの番組を見ただけで、あれこれ言える立場にはありません。ただただ、これから先の人生が幸せであるように、そして二人共に寿命を全うしてほしいと願うだけです。

先日は、87歳のジジイが31歳と3歳の親子を轢き殺し。昨日は、バスが20歳と23歳を轢き殺し。どっちの事故も、青信号を前を向いて渡っていただけなのに、その横に車が突っ込んできて命を奪われました。

同じ場所にいながら区別される生死に、「なんで?ねぇなんで?」と、誰に聞いても答えのでない問いを問い続けています。

春の闇
PR